バラを育て始めると一番頭を悩ませるのは、病害虫の問題です。
しかし、病害虫の心配は1年中あるのではなく、高温多湿になる6月〜10月が、最も気をつけなければならない時期です。常日頃から確認し、予防していくことが大切です。
鉢植えの場合直接雨が当たらない、風通しのよい場所に置いてください。
バラの栽培に適した環境に整えることが先決! 水が、葉っぱや花にかかると痛んだり、
病気になったりします。
頻繁にバラを点検しましょう。予防に重点をおき早期発見が対策のコツです。
点検しながら、花がら摘みや枯れ葉処理をしましょう。
前もって予防することが重要。
虫が一番好むやわらかな葉先や枝先、蕾などを予防的に二週間に
一回程度ピンポイントで農薬を散布します。
被害を拡大させないことが大切です。病害虫を見つけたらすぐに対処することが鉄則。
後回しにすると、予想以上に進行します。
同じ効果を持つ薬剤を数種類使うことをお勧めします。
薬害防止や病害虫が耐性を持つことを防ぐためです。
気温の上昇とともに急激に蒸発すると葉面の薬剤の濃度も一気に上がってしまい、葉を痛めることになります。薬剤によっては油分を含むものもあり、葉焼けを起こします。
朝方や、夕方がベストです。気温が下がり、水分の蒸発がすくないのでジックリと成分が浸透します。そして、お天気のいい日は洗濯物を干されていたりするので、飛び散らない工夫をしましょう。
いくら天然素材の産出物が成分で安全とは言っても、ウィルスや害虫に強い働きかけのあるものは、希釈濃度や散布の間隔などきちんと守らないと副作用・副産物をもたらすものも中にはあります。
薬は薬。取扱いには十分注意が必要です。
しかし、取り扱い方法をちゃんと守れば、安全なものなので安心してくださいね。
幼児やペットの触れない場所に保管することも大切です。
バラは葉裏にある気孔から病菌がひりやすいので、噴霧器で葉の裏にかかるように散布します。
また、雨が降ると病菌が広がりやすいので、雨が降りそうなときは、積極的に散布します。
ほとんど無駄にはなりません。
うどん粉をまぶした様に、葉っぱが白くなっている、なんだか葉がちぢれている。
ミニバラに最も多いと言われているウドンコ病の症状です。
病名 | ウドンコ病 |
---|---|
発病時期 | 4月〜10月、比較的暖かい時期、夏季の高温期を除く |
症状 | 葉っぱや蕾、枝が白く粉吹いたようになっている。 病気が進むと葉っぱがちぢれ、蕾が咲かないこともあります。さらに、光合成を行えなくなるため、生育が悪くなります。若い花首にも発病します。ひどくなると枯死してしまいます。 |
原因 | 土中のカビの一種が風にのって発生。 暖かい時期、湿度が低いと発生します。さらに、風通しの悪い場所では多発します。チッ素が多く、バラが弱っているときなどにも発生します。 |
予防方法 | 適場所・体力づくり! 心配なら予防スプレーを。 まず、風通しのいい場所に置きましょう。そして人間同様、体力づくりをして予防します。チッ素が多いとバラは弱ってしまいます。バランスのいい肥料やりを心がけて丈夫なバラに育てていきましょう。さらに、発生時期は一週間に1回程度スプレー型の薬剤を散布すると効果的です。 |
対処法 | 悪くなったところは徹底的に取り除いて!さらに全体に薬剤散布を。 白くなった部分は取り除きます。その後、上部から殺菌スプレーを全体的に散布します。1週間に1回程度予防も含めて散布しましょう。 |
使用する薬剤 | ミラネシン カリグリーン ダコニール ルビゲン トップジンM トリフミン など |
下葉から、黒い斑点がつき落葉していきます。
伝染力が極めて強く、放置すると次から次へと感染してしまいます。
病名 | 黒点病(コクテンビョウ) |
---|---|
発病時期 | 4月〜11月、梅雨の時期は特に注意が必要。 |
症状 | 葉っぱに黒い斑点がつき、葉っぱ全体が黄色っぽくなり落葉します。 下葉から発生し、徐々に全体に拡大していきます。茎につくこともあります。 |
原因 | 土に生息する菌が雨や水でバラに跳ね返りつくことで土中のカビの一種が寄生して発生。 菌は水滴によって葉っぱに入り込み発病します。 |
予防方法 | 株元にはマルチングを。 水やりや雨で土が跳ね返ることを防ぐため、マルチングをすると効果大です。ビートモス、ワラ、水ごけ、バークチップ等を株元に均一に敷き詰めましょう。 |
対処法 | 黒くなった葉っぱを取り除き、念のため周りの葉っぱも取り除きます。その後薬剤散布を。 発病した周りの葉も取り除きます。その後、2日に3回程度集中的に薬剤散布をしましょう。伝染力が強いため、早期発見、対処が重要です。また、黒点病のバラに使ったハサミはそのまま使わないようにしてください。アルコール消毒もしくは熱湯消毒してから使いましょう。 |
使用する薬剤 | ダコニール トップジンM オーソサイド サブロール など |
根などに、暗褐色のでこぼこしたコブができ肥大していきます。
治療困難で、やっかいな病気です。
病名 | 根頭癌腫病(ネトウガンシュビョウ) |
---|---|
発病時期 | 1年中 |
症状 | でこぼこしたコブができ、どんどん大きくなっていきます。 根っこや接木部分に、暗褐色の瘤ができ肥大していきます。瘤の発生により花つきが悪くなり、生長にも影響します。 |
原因 | 土中にある病菌が、バラの根やつぎ口にある傷口から感染しコブになっていく。 そして、遺伝子置換えを行いながら自己増殖します。 |
予防方法 | 残念ながら、確実な予防法がありません。 気をつける事として、植え替えの際になるべく根っこを傷つけないようにします。また、剪定道具は常に清潔にしておきましょう。 |
対処法 | コブをできるだけえぐり取りましょう。 基本は治療困難ですが、木酢液の原液などをかけると治癒することがあります。治癒不能なら株ごと抜き捨てます。土も同様に捨てましょう。 使った道具はしっかり殺菌してください。 |
使用する薬剤 | 木酢液などが有効 |
葉っぱが白くなり、なんだか元気がない。そして気がついたら、一気に増えていきます。
ハダニは発生しやすく、また繁殖力が高い害虫です。特に、高温、乾燥期は注意が必要。
弱点を知って退治しましょう。
害虫名 | ハダニ(クモの一種)、体長0.5mm程度 |
---|---|
発生時期 | 3月〜10月、高温、乾燥期の被害が目立ちます。 |
症状 | 葉っぱが白っぽいカスリ状になり落葉します。 肉眼では見えにくい虫が葉の裏などから樹液を吸い、葉の機能を失わせます。量が増えるとくもの巣のような巣を作ります。ひどくなると株ごと枯死してしまいます。 |
予防方法 | 雑草を掃除して、乾燥期には葉っぱの裏に水をかけると効果的。 雑草から移動して繁殖することが多いとされているため、効果が期待されます。また、水が苦手なので発生時期には水やりの際、葉っぱの裏にも水をかけるといいでしょう。しかし、充分に気をつけていても発生するのがハダニです。早期発見、早期駆除に努めましょう。 |
対処法 | ハダニは水が大嫌い。水で流して、その後薬剤散布を。 一週間に一回、葉の裏にシャワーをかけるように洗います。水だけで全滅させることはできないので、併せて薬剤散布をしてください。(特に卵は水で流せません。) 初期段階で、発見すると被害も少なくてすみますが、被害が拡大してくると卵・幼虫・成虫など発育ステージの異なるものが混在するため、1回では充分退治できません。耐性ができやすいので、3種類程度の薬剤を定期的にローテーションで散布することも重要です。 |
使用する薬剤 | ニッソランV テルスター ダニトロン など |
柔らかい新芽や若い葉っぱに緑色や黒色の小さな虫が群がって発生します。
じっ〜くり観察しましょう。アブラムシついていませんか?
害虫名 | アブラムシ(クモの一種)、体長1.5mm程度 |
---|---|
発生時期 | 3月〜10月 |
症状 | 新芽や蕾、若い葉っぱに小さい緑の虫が群がります。 群がり、バラの樹液を吸います。よって、バラにウィルスを介したり、病気に対する抵抗力を弱めます。また、分泌物で蟻を誘引します。放っておくと枯死してしまうことがあるので、注意が必要です。 |
予防方法 | 新芽が出てくる時期に予防のための薬剤散布。 新芽が出てくる時期に一週間に一回程度予防のための薬剤を丹念に散布します。また、被害が少ないうちの退治は簡単ですので日ごろからチェックして早期発見が被害拡大を防ぐコツです。 |
対処法 | 数が少なければ、セロハンテープなどで取りましょう。薬剤散布も効果大です。 手が付けられないほど、被害が拡大してしまったら剪定して薬剤散布をしてください。 |
使用する薬剤 | オルトラン スミチオン など |
ヨトウ虫とはガの幼虫のことです。昼間はあまり姿が見えません。
株の根元近くの土中や、葉の裏に昼間は潜み、夜になると枝をはい上がって葉や草花の茎を食べます。
病名 | ヨトウムシ(ヨトウガ、ハスモンヨトウ等の幼虫) |
---|---|
発病時期 | 5月〜10月 |
症状 | 葉っぱがレース状になるぐらい、食べられてしまいます。 糞が、黒くて大きいのが葉っぱの下や上にあったらこの系統の虫だと思ってください。小さいときには緑色で、集団で葉の裏にいることがあります。大きくなると、夜間に活動します。 |
予防方法 | 葉っぱの裏などをこまめにチェック。株周りの雑草はきれいにしておきましょう。 葉っぱに点々と穴が開いていたら、注意深く観察してください。被害が大きくなる前に日ごろからチェックしてください。 |
対処法 | 大きくなる前に駆除しましょう。 小さいときには緑色で、集団で葉っぱの裏などにいることがありますので、発見しだい捕殺してください。葉っぱごと切り取ってしまうとよいでしょう。このときであれば、まだ薬剤も効果があります。緑色ではなくなった「大きな幼虫」は、薬剤が効きにくい上、昼は隠れて夜間に現れるので、夜に懐中電灯などを持って、探すとよいでしょう。株元や葉の裏を見る、地面を軽く掘り起こすなどして探し、見つけたら速やかに取り除いてください。その後、念のため薬剤をかけておきましょう。葉っぱの裏にかけるのがコツです。 |
使用する薬剤 | オルトラン スミチオン など |